Devilrainbowのブログ

変なIDと思われるでしょうが、こうなりました。1962年生まれです。

『君の名は』をアマゾン・プライムで観る(12月17日)①

2016年公開 新海誠 監督アニメーション。

映画の最後に流れる、あの、名前、ズラーーーっと続く、製作者、アニメーター方々の名前を、映画映像の終わりには必ず出て来るいつもの風景の、あのズラーーーっと、荘重に流れるたくさんの人々の名前を見ているうちに、「若かったら、こんなアニメ観たならアニメーターになりたい!って、思っただろうな」

「若かったら・・・」と、そう思った。

ついにその境地が、率直に思う日が来た。

主人公少女の三葉のお祖母様が、語りべ然とした、いかにもなキャラクターの、あのようなおばあさんの語りべの口調で話し出すのを、大正生まれの私の祖母の話し声と、難なく重ね合わせることができる。

そのやわらかな特徴的な口調。

 

そういう世代なのかな、時間を語るおばあさんは大正生まれ「世代」なのかな。祖母とか曽祖母とかのイメージが、すべからくそうなのだという普遍性があるとしたならば、もしも時代が古代ギリシャ時代だったとしたら、普遍性は、前古代まで遡らなければならないことになるので、普遍性自体が、長い時間間隔の、現代的にいうなら「世代」というものか。

あの『日本昔ばなし』を物語る、おばあさん声・おじいさん声も、語りべイメージが描かれているとするなら、おじいさん・おばあさんイメージに抜擢されているのは大正生まれ「世代」なんじゃないだろうか。

 

あの、事物を超えて仏陀やキリストや、・・・を体現したかのような、あの、事物の核心とはコレか・・・、と思わせる言葉少なに話し出す話し方は。

やわらかに、無限の糸の話をする。ときどきもつれる糸の話。

 

音楽がよかった。

そうだ、音楽とのタイアップというのか、コラボというのか。

RADWIMPS

なんて、なんて、100パーセント・ピュア恋愛なんだろう。

だから、このアニメーションなのか。

 

製作の、この方々はどんなことをしているんだろう?製作って、アニメーションの製作って。

神木隆之介さんと上白石萌音さん、って声優だったのかあ。

瀧と三葉みたいな男子女子って、いる。アニメーションって、現実の人を十分彷彿とさせている。

そこは、すごく現実的に思える。

 

2000年代生まれの子供は、「アニメーターになりたい」と、思うことがあるんだ。

考えたこともなかった。

たとえば、映画であるなら、私は私なりの消化の仕方をしているもので、それは生まれた時から、自然に飲み食べのように自然に、ジャンルは狭くても、思うことのひとつやふたつを発見できる。

映画とは何なのか?という問いは、私ではない誰かが考えることだ。そういう結論が私にあるということは、映画は私にとって、ジャンルを狭くしさえすれば、星をつけてゆけるものだ。

 

アニメーションというのは、どういう世界なんだろう?そんなこと考えたことはなかった。

トムとジェリー』だって知ってるし、『アラジン』だって『アナと雪の女王』も知っている。

ジブリも何本か観たんだ。

でも、アニメーションとは何か?なんて、考えたことはなかった。

その「リアリズム」について、一瞬でも、記憶が高速で早戻しして。戻ったのは一瞬だったかもしれない。それが、繋がりもせず、見えもしない点を打って寄越す。

「リアリズム」は、描かれた精巧な風景画なのではなくて、精巧な純粋さだとしか思えない。「絶対にあなたにも起こったことがあるはずだ」だなんて、そんな力強いメッセージを送り続けることがある。なんてことが、人の内面に向かって起こすことができるなんて。

信じられない気持ちがする。

ピュアっていうのが、ある。

成長期の少年少女にうってつけのテーマなのだから、対象を少年少女としたドラマになるはずだ。ところが結果はそれだけではなくて、アニメーションの出来は、そこから生成される偶然をはらんでいる。

人の心には、偶然ってものがある。

人の心の偶然を喚起する。

そんなシーンが、いくつもいくつもつながって、それで、こちらとしては、泣きそうになっているような錯覚がしてくる。アニメーションなので、錯覚でしかない。こんな錯覚を生むために、記憶と記憶事実というものがあるわけではないはずなのに。心がブルブル震える。

絶対に、あの経験もこの経験も、アニメーションの製作陣をはじめ、昭和生まれには、起こったことがあるはずだ。

前期高齢者の方々にも後期高齢者の方々にも、観てほしいと思った。

でも、アニメーションなんだ。と、そこで私は躊躇する。

私には、若い頃観たように、それが映画であるなら自然に備わっていた感性、娯楽性を楽しむ気持ちが失われてしまっている。

ということに、あらためて気がつかされている。

それとこれとは関係がないにせよ、リアリティには程遠いアニメーションに「リアリズム」を観ている。

アニメーションが、自分や若い人々や、後期高齢者であっても、眠れなくなるほど胸を騒がせるエンタメだったり、キャラクターに恋するだとか、ファンをそれほどまでに夢中にさせる現象があるのも知っている。

それだのに、アニメーションとは何なのか、なんて今の今まで真剣に考えたことはなかった。

・・・やっぱり、もう一回観てみる。